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心が病んでいたときに聴いていた音楽たち(2018年)

      2021/04/16

そんなことしたって辛かった記憶を思い出すだけでしょ、って話かもしれないが、半年ほど経った今、わりと客観的に振り返ることができるくらいの状態になってきた。だからあえて、忘れないないうちに書いておこうと、そういう記事。かなり個人的な随筆。

というのもこの間、湯船に浸かっているときにふと当時聴いていた音楽のことが頭の中にプカプカと浮かんできたのだ。それらは一昨年後半から去年末にかけて、ちょうど社内の人間関係のことで本当に、本当に疲れてしまっていたときに聴いていた音楽たちだった。

当時聴いていた音楽 ※順不同

  • 細野晴臣『はらいそ』
  • 細野晴臣『メディスン・コンピレーション』
  • Bob Dylan『Blonde on Blonde』
  • Dr. John『Gumbo』
  • Red Box『The Circle & the Square』
  • Brian Eno『Ambient 1: Music for Airports』
  • Weekday Sleepers『ベッドルーム・ロックシンガー』
  • 自分で録音した環境音(実家近くの夜中の虫の音など)

などなど。

あんまり人のYoutubeを貼るのは気がすすまないけど(「Waikiki Blue Sky」の動画はこれ公式アカウントなのかな?)。とりあえず手っ取り早く聞けるものがあったので貼っておく。

自分を救うため&守るために音楽を聞く

音楽を聴いていた・・・というより、”イヤホンをつけることで周囲から自らを孤立させ、音に溺れて自分自身を空気の中に溶け込ませていなくなってしまうために音楽を聴いていた”と書いたほうが正しいのかもしれない。音漏れしない範囲でできるだけ音量を大きくして音楽を聴き、精神の内へ内へと意識を入れていく。当時はとにかく、外界(というか社内の雰囲気)を遮断したかった。

雨が地面に接触する音、風がゆらす木々の葉っぱの擦れる音、虫の音、渓流、小鳥のさえずり、実態のつかめない霧のようにあたりに広がり漂いすべて包み込んでくれるかのようなシンセサイザーの音、大地の鼓動を思い起こさせるリズム、天国に音楽が存在するならきっとこれは欠かせないだろうと信じて疑わなかったスティールパンの響き、自分の中の病みの部分が水中の空気のように丸みを帯びて放出され浄化されていくような気持ちになれたサムピアノの音色、エレピのゆらぎ、死者を明るく迎えだすニューオーリンズのパレードミュージック、などなど。

これらの音楽、というか音(サウンド)が、精神衛生上、とにかく必要だった。

職場では常にイヤホンをしていた。仕事柄、イヤホンで音楽を聴いていても大きな支障はなかったし、それを注意するような人もいなかったのが幸いだった、のかもしれない。イヤホンを外すと現実が巨大な壁のように押し寄せてきて、そのまま潰されてしまうような感覚があった。

今になって思えば、けっこうギリギリだったんだろう。

先人の教えにすがる

アメリカインディアンに関する本に手を出したのも、ちょうどそれくらいの時期だったと思う。なぜか「彼らの教えの中に救済のヒントがある」と強く思い込んでいて、ネットでも彼らの歴史や言葉や音楽や考え方を検索しまくいっていた。

ネット検索ではあまり有益な情報を得られなかったが、書店で見かけたいくつかの本からは情報を得ることができた。その中でも、「すべての物事は正しいタイミングで起こる。今その出来事があったのなら、それには必ず意味がある」という考えにはずいぶんと助けられていた記憶がある。

で、これらを踏まえると、当時はまったく自覚していなかったが完全に病んでいたと思う。

妻の母からは、「どうしてインディアン?」と理解できない感じで心配されていたらしい。そりゃそうだ、急にそんなこと言い出したら怪しいと思う。自分でも客観的に見れば怪しいと思う。

「彼らの教えの中に救済のヒントがある」という点については、あながち間違いでもなかったかなと今でも思っている。「ローリング・サンダー メディスンパワーの探求」は今もちょこちょこ再読している。

病んでいたときに作った自作曲を振り返る

当時作っていた自分の音楽を聞き返してみると、病みの具合が悪化していくのがわかるからちょっとおもしろい。

天幻橋(demo)

歌っている内容は、自分の体験にあるものでも、誰かに聞いた話でもない。なんとなく頭の中に浮かんだ、実在しない海沿いの田舎町のことと、その町に住む青年のこと、青年に関連する出来事や環境のことが歌になっている。

Youtubeにアップしているのはデモ版。アルバム『SLOTH STUDIO MUSIC VOLUME 3 SONGS​!​!』に収録した完成版には、左右にゆらゆらと揺れ動くエレピサウンドを追加していて、これがいい味を出していると自画自賛しておく。

今思えば、この曲を作った(思いついた)ときが病みの始まりだったのかもしれない。なぜなら、こういう雰囲気の曲はそれまで作ったことがないからだ。

平凡太郎のライフイズハッピー(demo)

「天幻橋」とほぼ同時期に作って録音していたこの歌も、今聞くと「こりゃちょっと疲れてるな?」とか思っちゃう。

明るいけどね。空元気ぽくもある。

フリーフライト(demo)/疲れた日にはちゃんと休みを(demo)

完全に疲れてる。「疲れた」って歌っちゃってる。

「立ち上がれないし/何もできない」の歌詞は実話。本当にそういう日があって、そのときばかりは会社を休んだ。「明日があるさ/なんとかなるさ」は自分に言い聞かせてる言葉。

その日は自覚できるくらいにうつ気味だった。だから変に励ましてはいけないし、だからといってマイナスの言葉をかけると落ちていく一方でそれはそれで辛くなってしまうから、これがスレスレの言葉だったんだと思う。

Diana Miniに振り回されて(demo)

ちょっと回復してるように聞こえる。この時期は心の病みを体を動かすことで拭い去ろうと、自転車で数十キロ単位を走っていた。その際にただ出かけるだけじゃと思ってフィルムカメラに手を出したというわけ。

でも家にあったトイカメラ(数年前に買っていたもの)は整備不良だかですでに不調。そのため、同じメーカーの違う機種を新たに購入したと。そういう体験の歌。アレンジの方向性はBob Dylan『Blonde on Blonde』方面。

歯車は壊れかけている(demo)

歌を作ったのは、アップロード日からさらに数年前。

気分がピタッときたのか、わざわざ歌い直しているあたり、かなりきている状態と推測。そういえばこの音源を録音したときは風邪をひいていて、声がガスガスだったんだ。それが雰囲気にあうとでも思ったのか?

フライト、プランD(demo)

Tom Petty & The Heartbreakers方面のアレンジでサウンドはさわやかだが、内容は「現実逃避」と「決別」の歌。

フライト=飛び立つ=独立。

9minutes medicine(demo)/dawn grass(demo)/C no OmoiTsuki(demo)

病み期を代表する三部作!!(笑)

会社に辞めると告げて、でもまだやらなきゃいけない仕事が残っていて、それをこなすだけの日々を送っていたときの曲。もはや歌ってすらいない。

なんとなく(demo)

12月30日にはこんな歌をアップしている。今までの音楽に反映されていたものとは別の不安にやられてる歌。

歌っているということは、ちょっとは回復したということか?

ただまあ、これで歌われている不安については今後もずーっとつきまとってくるものなので、どっちかというと今はこっちの歌のほうが聞いててつらい。重い。

お手軽ワンプレートランチ(demo)

年が明け、晴れて会社員ではなくなった途端にこんな歌を作っている。開放された感がすごく出てると思う。

 

 

 

思いつきで書き始めているから、まとめなんてない。ただ、あの頃は辛かったということを忘れないために書いただけ。

あの頃の辛さから解放されたことを思えば、これから襲ってくるかもしれない辛さなんか吹き飛ばさないと。そのために今の環境を自ら選んだんだから。音楽とは時に、とてつもないパワーを聞き手に与えてくれる。

NO MUSIC, NO LIFE(音楽のない人生なんて)は大げさではない。

 

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