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「ポテトバスケット」と「コメ牛」の誘惑

   

▲コメダブレンド、モーニングB(バター)、ミニサラダ

天気予報サイトは「晴れ」と記しているが、実際の空は曇り気味な某日。この日も私は、朝から『コメダ珈琲』にいた。

こんなにも短いスパンで再びやってきたのには訳がある。実は先日の利用時に「コーヒーチケット」(8枚綴り¥3000)を購入していたのだ。

コーヒーチケットを使えば、例えば「コメダブレンド」(¥450)で計算すると1杯あたり¥75お得になる。なお、チケットに有効期限はない。

“購入した店舗でしか使えない”という強めのルールがあるとはいえ、これは買わない手はないだろう。

 

今日のオーダーは以下の通り。

  • コメダブレンド+モーニングB(バター)
  • ミニサラダ

モーニングは「あんこ」ではなく「たまごペースト」にした。今日の俺の腹はたまごペースト腹だ。そして今回は、前回の失敗(※ミニサラダは一緒にもってきてくれるフォークだと食べづらい)を踏まえ、オーダー時に「箸も一緒にお願いします」と伝えた。完璧だ。

本を読みながら品物を待つ。今日のお供は、野口晴哉著『体癖』。

体癖(たいへき)とは、野口整体の創始者である野口晴哉がまとめ上げた、人間の感受性の癖を表す概念

引用:体癖 – Wikipedia

体癖とは、目に見える体のクセ(体格、体の動かし方など)はその人の内面(性格、精神面など)からの影響がある、という考えのもと、12種のタイプに分類したものが『体癖』だ。

それについて、創設者である野口晴哉氏が書き上げたのが、この本である。

 

言い回しが若干古かったりと現代用語と微妙に異なる表記はあれど、読むこと自体に支障はない。専門的な用語が多出するため、反復しながらじっくりと読み進めていく。

 

数分後。

店員がやってきて、コーヒー、トースト、ミニサラダ、ドレッシング、そして箸の入ったカトラリーケースがテーブルに並べられた。

まだ数ページしかめくれていない本を閉じ、まずはコーヒーをひと口。もうコーヒーはホットの季節だと改めて感じる。

次にカトラリーケースから箸を取り出し、ポテトサラダをパクっ。続けて、2種あるドレッシング(白)をキャベツに回しかけてパクっ。

・・・うん、これだ。やはりこのサラダはフォークじゃなくて箸だ。それと私は黒いドレッシングのほうが好みだ。

そう思いながらもう一度ポテサラを食べようとしたとき、握っている箸が『嫌い箸』であることに気がついた。

▲店の箸って1種類に統一してないのか、という驚きもありつつ

 

トーストとサラダを食べ終えたあとは、コーヒーを飲みながら読書を再開。

なるほど、人間には溜まったものを放出することで体内バランスをとったり、注目を浴びることで安定したりするタイプがある。その傾向は強く出る時期があれば弱く出る時期もある、つまり波がある。それを体の構造から紐解いていく、と。

鳥は空を飛べる体の作りをしているが、雀は忙しく羽ばたくのに対し、鳶はグライド飛行をするという違いがある。同じ種族でも体の作りは違っていて、それが表面的にもわかるように出てくる。それぞれに違いがあるのは当たり前で、同じように人間にだってそういった個人個人の違いがあり、それが体の作り、ひいては体格や動きの違いとしても表れるという。

 

ちまちまと飲んでいたコーヒーは残り半分になっていた。

本を置き、カップにミルクを加えてティースプーンで軽く交ぜる。後半戦はこのバランスで整えなおした味が好みなのだ。

そして再び読書に戻る。

専門用語が目に入る。

コーヒーカップに手が伸びる。

 

隣の席に大学生らしき青年が座った。彼はメニュー表をひと通り見たあとで「ハチミツコーヒー」「モーニングB」「ポテトバスケット」をオーダー。しばらくして彼が注文した品が運ばれてきた。

隣のテーブルにやってきた「ポテトバスケット」からは、揚げたてのポテト特有の胃袋をそそのかす匂いが立ち上がっており、それは私の席のほうにもおかまいなしに漂ってくる。

こーれーは厳しい飯テロだ!

ついさっきモーニングのトーストとポテサラ付きのミニサラダを食べたとはいえ、これは強敵だ・・・。

もしここで追加オーダーなんかしたら、続けているダイエットが台無しになるぞ・・・。

そう念じながら、正気を保つために正面を向いた。

▲「コメ牛」の無言の誘惑・・・

視線の先では「コメ牛」が無言で私を誘惑していた。

 

あー、これはやばい。

窮鼠猫を噛もうにも猫がどれだかわからない。

私は残りのコーヒーをぐいっと飲み干し、本をバックにしまい、レジに向かって歩き出した。

 

帰り道の途中、よく行く店に寄って「焼きそば(大盛り)」をテイクアウトした。

試合に勝って勝負に負けた。

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