【考察】フトアゴヒゲトカゲは「ご飯のタイミング」を覚えているのか

雑記

フトアゴヒゲトカゲを飼っていると、「本当は人の行動を理解しているのでは?」と感じる瞬間がないだろうか。

私はある。

我が家では健康管理のため、給餌は水曜日と日曜日の朝(週に2回)としている。

すると不思議なことに、ご飯の曜日が近づくとわざわざケージの手前にやってきて落ち着きがなくなるのである。

人が近づくとキョロキョロと顔を動かし、エサ袋のカサカサ音やエサを皿に入れるときのカラカラ音が鳴ると過敏に反応するのだ。

これは単なる偶然か、それとも「学習」や「記憶」によるものなのか…。

フトアゴヒゲトカゲの知性とは?

▲近づいてきた飼い主を見るトゲロー

まず、フトアゴヒゲトカゲの「頭のよさ」をおさらいしておく。

フトアゴは爬虫類の中でも比較的学習能力が高いとされていて、調べてみると左右の扉開け課題の社会学習が報告されているらしい。すごい。

ChatGPTによると、「特定の時間になると決まって餌場にやってくる」「冷蔵庫の音に反応する」といった報告もあるそうだ(ソース未確認)。

少なくとも、トゲローくん(我が家のフトアゴ)の行動からは、単なる本能だけではなく、環境や経験から学習し、記憶する力はあることが考えられる。

週2回の給餌タイミングを覚えているのか?

▲“ご飯の準備”に反応するトゲロー

我が家ではほぼ毎週確認している「ご飯の日が近づくとケージの前に出てくる」という行動は、どのように説明できるのか。

仮説として、「時間的パターンの記憶」が挙げられる。

哺乳類や鳥類は、ある出来事が一定の間隔で繰り返されると、それを記憶して予測する能力がある。

爬虫類に「曜日感覚」のようなものがあるのかは不明だが、おおまかな周期的リズムを覚えている可能性はあるだろう。

実際、爬虫類にも概日リズム(サーカディアンリズム)やそれに近い周期記憶はあり、光の変化や温度のパターンに応じて活動している。

実際、フトアゴは昼行性で夜は寝て過ごすことから「昼」と「夜」の周期のようなものは認識しているといえる。

このことから、トゲローくんは「前回の食事から○日が経過した」ことを感覚的に把握している可能性がある。

また、体内の代謝リズムや空腹感などを通じて、自然と給餌タイミングが近づいていることを感じ取っていることも考えられる。

「人=ご飯をくれる存在」として認識している?

▲“ご飯の準備”に反応するトゲロー(2)

興味深いのは、ご飯の日が近づいてケージの前に出てきたときに見せる、「人が近づくとキョロキョロと反応する」「ご飯の準備時の音に反応する」といった行動である。

これは典型的な条件反射的な学習(古典的条件づけ)と考えられる。

パブロフの犬のように、「人が近づく→ご飯がもらえる」「袋の音がする→ご飯が出てくる」という因果関係を、繰り返しの経験によって学習した結果ではないだろうか。

飼育下で人に慣れたフトアゴは、人に対して警戒するよりも、「報酬(ご飯)」の記憶を持って行動している可能性がある。

トゲローくんの場合、食事の準備をする際は決まって飼い主がケージに近づいたあと“毎回同じ音”が鳴るため、その音を聞いただけで外に出ようとケージのアクリル扉を前脚でカサカサとひっかくような動きを見せる。

こうした行動を総合すると、フトアゴヒゲトカゲは「人間の行動の一部を、自分の生活と結びつけて学習している」と言えるのではないだろうか。

行動観察からわかる「知性のグラデーション」

▲“ご飯の準備”に反応するトゲロー(3)。「早く出せや」というセリフが聞こえてきくる…

ここで改めて、トゲローくん(フトアゴ)の行動をまとめてみる。

  • 週2回のご飯のタイミングが近づくと朝の行動が変わる(活動的になる)
  • 飼い主の接近にキョロキョロと反応する
  • エサを準備するときに鳴る音に過敏に反応し、食事行動を示す

これらはすべて、「刺激と報酬」を何度も繰り返した経験によって強化された学習行動と見なすことができる。

つまり、フトアゴは「ご飯の時間が近づいていること」や「人の行動がご飯につながること」を、経験によって学んでいるのではないだろうか。

もちろん、犬や猫ほどの複雑な感情理解や高度な推論ができるとは言えない。

しかし、単なる「反射」だけで説明できるレベルを超えた、記憶と学習の積み重ねによる行動が観察できているのは間違いない。

フトアゴとの「コミュニケーション」は成立している?

▲ご飯(フトアゴドライ)を食べるトゲロー

フトアゴのこうした学習行動を見ていると、飼い主としてはつい「こちらの気持ちも伝わっているのでは?」と思いたくなる。

実際、彼らは人間の動きや声に反応し、特定の行動を見せてくれることもある。

ただしこれには注意点もある

フトアゴにとっての「ご飯をくれる人」は、あくまで報酬の源であり、必ずしも「愛情」や「感謝」といった人間的な感情と直結しているわけではない

だが、それでも彼らが人間の行動を理解し、自分にとって有益な反応を選んでいるという事実は、コミュニケーションの一形態だと言えるだろう。

【結論】フトアゴヒゲトカゲは「学び」「記憶し」「行動する」

▲食後に飼い主をじっと見つめるトゲロー

フトアゴヒゲトカゲは決して「反射的に生きているだけの爬虫類」ではない

彼らはご飯の周期を感じ取り、人間の行動を観察し、音や動作に反応して自らの行動を調整する。

週2回の給餌に対する行動は、まさに学習と記憶の結果であり、そこにはフトアゴなりの「知性」が確かに存在している。

もし、フトアゴがご飯の時間が近づくと「何か」を訴えてきているように感じたら、それはたぶん気のせいではない。

きっと彼らは、自分の経験をもとに「ご飯の時間が近い」ことを理解しているのだ。

参考資料

フトアゴ飼育に関する情報まとめ

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