【連載小説】磐津神社の御朱印騒動

▶前回：第4話「噂が導く二つの道」- - - - -寿々喜は再び磐津神社の境内に足を踏み入れた。先日訪れたときよりも参拝客が多く、特に若い女性の姿が目立つ。皆、スマホを手に御朱印を撮影したり、「ご利益ありますように！」と願いを込めている。「...

▶前回：第3話「磐座と龍神」- - - - -後日、寿々喜は多菜花が待つ喫茶店に向かった。「あ、きたきた。いやあ、ますます面白いことになってるよ」「何が？」「御朱印の話。考察派とスピリチュアル派で、SNSが軽く戦場みたいになってる。ほら」「...

▶前回：第2話「神社の記憶」- - - - -磐津神社を後にした寿々喜は、町の歴史を探るため、地元の図書館へと向かった。天幻町は、かつて海と山に囲まれた静かな港町として栄え、その象徴とされる「磐座」は、古くから「天から降った神の石」と語り継...

▶前回：第1話「御朱印騒動の幕開け」- - - - -磐津神社に着いた寿々喜は、まず境内を見渡した。平日の昼間とあって、参拝客はまばらだ。バズったとはいえ、そこまで大騒ぎになっているというわけではないらしい。「さて、とりあえず関係者に話を聞...

「磐津神社（いわつじんじゃ）の御朱印がバズってる、って知ってる？」多菜花（たなか）がスマホを見ながら呟く。「なんだそりゃ」寿々喜（すずき）は喫茶店のテーブルに肘をついたまま、興味なさそうに応じた。「ほら、これ見てよ」多菜花が画面を差し出す。...