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【兵庫旅日記②】「六甲比命大善神社」参拝後に遭難しかける

   

▲2日目の朝、出発前のホテルにて。旅のお供本はジャック・ケルアック「オン・ザ・ロード」

「廣田神社」に参拝した翌日、神戸市灘区の六甲山にある「六甲比命大善神社」に参拝してきた。三宮のホテルを出て、阪急電車・神戸三宮駅から六甲駅へ。そこから市バスで山の麓まで向かい、六甲ケーブルで山を登ったあとは山上バスで最寄りまで。以降は徒歩で、山道(参拝者らが通る獣道のようになったルート)を進めば「六甲比命大善神社」に到着する。

六甲比命大善神社とは

▲「六甲比命大善神社」の本殿。拝殿の奥、大岩の隙間に鎮座している

兵庫県神戸市灘区の六甲山にある、巨大な磐座を御神体とする「六甲比命大善神社」。この磐座は縄文時代(BC5000年頃)に人工的に積み上げられたものなのだとか。

公式サイトには以下のように記されている。

インドから渡ってきた法道仙人はここを奥の院とする多聞寺を古寺山に創建しました。法道仙人が雲ヶ岩で修業中、毘沙門天が紫の雲に乗って現れたと伝わります。

(中略)

山号は六甲山、そして祭神の弁財天=吉祥天と毘沙門天(多聞天とも呼ばれる)が仏教本尊の中では珍しくご夫婦であることから、吉祥院多聞寺と命名されたものと思われます。

その後、役行者の縁者、四鬼家が奈良の天川村の洞川(どろかわ)より神戸市北区の唐櫃(からと)に移住して、近代にいたるまで、ずっと西六甲の山を管理していました。

六甲山が、かつて西宮市の廣田神社の領地であった、ということから推定しますと、法道仙人渡来以前はここはかつて廣田神社の奥宮だった可能性があります。

【引用】六甲比命大善神・歴史|https://rokkouhime.wordpress.com/%e6%ad%b4%e5%8f%b2/

「廣田神社」の領地だった六甲山に存在する、「廣田神社」の御祭神・天照大御神之荒御魂=撞賢木厳之御魂天疎向津媛命=向津姫=瀬織津姫を御祭神とする、仏教伝来以前の日本の神社スタイルとされる“自然物を御神体とする”神社。

詳細はネットで調べてもあまり出てこないが、この情報だけでも非常に興味深く、また個人的に縁を感じる神社はない。前日に参拝した「廣田神社」も大事だが、今回の旅の本命は実はこちらだったり…。

ロープウェーに乗る前に昼食を

ほとんどは電車やバスで移動するとはいえ、これから俺は登山をするのだ。ならばその前に腹ごしらえが必要である。普段と同じく、この日も朝飯は食べていない。

腹が、減った…。

ランチスポットは事前に調べていた。前日のこともあったので火曜定休でないことも確認済み。抜かりはない。六甲駅を出て、すぐに「とんかつ ひろ喜 六甲店」へと向かった。

▲とんかつ ひろ喜 六甲店

11時の開店と同時に入店。席につくなり、セルフオーダー制だと告げられる。テーブルにはレギュラーメニュー表と、ペライチ手書きのランチメニュー表。その隣にQRコードが提示されており、これを自分のスマホで読み込んで注文する仕様。

たぶん絶対ランチメニューのほうがお得なのだろうが、あえてレギュラーメニューから「ロース&ハーフヒレとんかつ+定食セット」をオーダー。見知らぬ土地ではベタ(今回で言えば定番メニュー)を選ぶ。昨日の学びは大きい。

やがてやってきたそれは、山盛りキャベツに支えられた肉厚とんかつにたっぷりソースがたっぷりかかったやつ。そうそう、こういうのがいいんだよ。

▲ロース&ハーフヒレとんかつ+定食セット

とんかつを食べてご飯、とんかつを食べてキャベツ、以降は辛子をつけたりつけなかったり。…うん、うまい。これならご飯は「大」がよかったかもしれないなあ。いやでも、山登り前に食べすぎるのもどうなんだろう。やっぱり「中」にしておいて正解か。

…などと井之頭五郎なりきり脳内レポしていると、隣のテーブルに若い男性サラリーマン(2人組)がやってきた。やがて彼らのテーブルにフライドポテト×2、とんかつ定食×2が登場。若さゆえの食欲。いいじゃないか。

いざ、六甲比命大善神社

▲六甲ケーブル

程よく腹が膨れたところで、市バスに揺られて六甲ケーブルへ。平日ながらケーブルカーはほぼ満席。六甲山ってこんなに人気なのか…。失礼な話、もう少し人が少ないと思っていた。みんな「六甲比命大善神社」に参拝するのかなあ。

▲六甲山上駅の屋上からの眺め

六甲ケーブルを降りたら目の前のバス停から六甲山上バスに乗り、「アスレチックパーク前」バス停で下車。そこから徒歩で「六甲比命大善神社」へと向かう。

▲最寄りバス停から神社への簡易マップ

▲「ホントにここから入るの…?」と思っちゃう入口

▲看板があるから間違いない

▲山に入るとこんな感じの道が続く

両サイドに草木が生い茂る山道を進むと、すぐにこの山の巨石の多さに気づかされる。道案内役のように点々とある石灯籠サイズの巨石(不自然なくらいにまあるい)、上部が平らな巨石(絶対に人為的なものだろ…)、意図的に組まれたようにも見える巨石(人がやったのならどうやって持ち上げたのか…)。

▲しばらく進むと、祭壇のように組まれた仰臥岩(ぎょうがいわ)が見えてくる

▲熊野権現、花山法皇、仏眼上人の連名の石碑

▲さらに進むと大きな石が点々と現れる

▲とにかく石がでかい

▲雲ヶ岩(紫雲賀岩)

圧倒的な大岩の数々。「大嶽神社」で準備運動しておいてよかった…。

いよいよ拝殿…あれ、無人じゃない?

▲拝殿が見えてき…た?

六甲山のイメージが「おいしい水」から「巨石」に変わったところで急斜面が現れる。一応階段や手すりは取り付けられているものの、片手にカメラを持った状態では降りづらいレベルの落差&角度。

慎重に進むと拝殿が見えてき…あれ?事前情報では「六甲比命大善神社」は無人のはず。しかしなぜか学校用テント(白い布と金属ポールのあれ)のようなものが設置されている…。

不思議に思いながら進むと、小屋の前でおにぎりを食べる作務衣の男性(お名前を聞きそびれていたのだが、あとで調べてみるとこの方が神社管理者であることが判明。お名前も。ネット社会ちょっと恐い)と、先客の男性・Fさんが会話をしていた。

作務衣の男性はこちらを見ると「奥の拝殿へ、どうぞ」とひと言。促されるままに小屋の裏手で参拝し、再び小屋の前に戻ってくると、Fさんが作務衣の男性に質問を投げていた。

▲拝殿の奥、大岩の隙間に鎮座する「六甲比命大善神社」の本殿

Fさんの質問に対し、断定する形で即答する作務衣の男性。しかし、少々早口なことに加えておにぎりを食べながらの会話だったため、話す内容の半分くらいしか聞き取ることができなかった…。ただそれでも得られた情報量はすごいもので、この方の知識量には頭が下がる。

【余談】「ホツマツタヱ」について

古史古伝の一つに「ホツマツタヱ」というものがある。一般には偽書とされているものの、ここに真実が書かれているという人も多く、作務衣の男性もその一人のよう。古事記を読んだことをきっかけに日本の歴史を勉強しなおしていると伝えると、「古事記なんか読んでも時間の無駄ですからやめておいたほうがいいですよ」と言われてしまった(笑)。

「ホツマツタヱ」に関する書籍はいろいろあるが、手に取るなら現代語訳で読みやすい「はじめてのホツマツタヱ」がおすすめとのこと。

「ホツマツタヱ」と「はじめてのホツマツタヱ」。どちらの存在も知ってはいたが、一応は正史とされている「古事記」「日本書紀」をしっかり読めていないうちに手を出すと知識がとっ散らかってしまいそうで手を出していなかった。

「六甲比命大善神社」でもらった資料によると、「ホツマツタヱ」には瀬織津姫に関する記述が多いとか。これも何かのタイミングかもしれないと、とりあえずポチってみた。

…が、この原稿を書いている時点ではまだ読めていない。いや、あの、年末ということもあって、やることがいっぱいあって…。

スマホに表示された「SOS」と人工衛星

▲「六甲比命大善神社」の拝殿を見上げる形で撮影

作務衣の男性とFさんの会話に加わる形で話していると後続の参拝客がやってきたため、Fさんはルートの先へ進むことに。

なんでもFさんは最近“目覚めた”人で、スピな動画をYouTubeで見漁ってはできる限りフィールドワークをして「自分がどう感じるか」を大切にしているのだそう。それであの熱量で質問していたのかと納得。お互いにどこから来たのか、参拝の理由は何かなどを話しながら歩いていった。

▲世界最大級・世界最古級のウサギの形をした磐座。存在感がすごい

▲こちらも巨大、心経岩。法道仙人によって般若心経が刻まれたと伝わる。現在の般若心経は大正5年に彫り直されたもの

やがて“進むべき道”と思われるルートが“今日イチの獣道”として目の前に現れた。道であることは明らかだが、それにしては草が生い茂りすぎている。

「本当にこっちで合ってるんですかねえ」と言いながらiPhoneを取り出してみると、なんと圏外…というか「SOSマーク」が表示されている。何これ初めて見た。電波がつながらないので、当然Googleマップで現在地はわからない。あれ、もしかしたら少しマズイやつじゃない?

▲電波状況の表示スペースに現れた「SOS」の文字と人工衛星

…ところが、Fさんのスマホは電波3本でGoogleマップが見れる!「型落ちの安いやつなんですけど〜(笑)」とおっしゃっていたが、買ったばかりのiPhone14よりシゴデキスマホである。Fさんと一緒に進んでなかったらちょっと危なかったかもしれない。Androidに変えようかな。

結局、“今日イチの獣道”は“進むべき道”だったため、草をかき分けながら歩いて山道から脱出。無事にバス停にたどり着き、ロープウェイ乗り場まで戻ることができた。Fさん、本当にありがとうございました!

▲進むべき道(1)。通れるけど、通っていいのかちょっと怪しい

▲進むべき道(2)。さっきよりはマシだが…

▲進むべき道(3)。ここで思わずスマホを取り出すもSOS&人工衛星…

なお、この原稿を書くにあたって「SOS」「人工衛星」表示について調べてみると、あれは今年7月から始まった“圏外でもメッセージを送信できるというAppleの新しいサービス”によるものだった。すげえ。

米アップルは30日、同日から通信がつながらない「圏外」でもiPhoneで緊急SOSを出せるようにしたと発表した。人工衛星経由で位置情報を共有し、負傷や遭難などの状況をメッセージでアップル側と家族に伝え、救助を呼ぶことができる。山間部や海上などで活動する個人・法人の活用を見込む。災害時にも役立つとみている。

【引用】iPhone、圏外でも衛星経由で緊急SOS 日本で提供開始 – 日本経済新聞|https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC301E80Q4A730C2000000/

参拝を終えて

六甲山の滞在時間が予定していたよりも長くなってしまったので、下山後は寄り道せずに神戸三宮駅へ。これにて、瀬織津姫に出会う一泊二日の旅は終了だ。

短い時間ではあったが、都会ながらも海と山が近い神戸の街は肌に合う気がした。西宮も、「廣田神社」から西宮駅までの街並みしか見れてはいないが、都会すぎず田舎すぎずで悪くはないように感じた。

県知事問題は相変わらず解決しないままだが、それは人間のエゴによるものであって兵庫の土地は悪くない(たぶん)。また時間を作って再訪したいと思った。次は淡路島だな、なんて。

作務衣の男性との会話中に「和布刈神社」というワードも出てきたため、やっぱりあそこも瀬織津姫にまつわる大切なスポットなのかと再確認。

次は淡路島、と思ったけれど、その前に「和布刈神社」だな。

帰りの新幹線内で食べる夜ご飯に悩んでいたところ、知り合いから「神戸阪急の地下で買えるピロシキがうまい」という情報を得たので購入。残りの時間は三宮周辺をぶらぶらしながら土産探し。アーケード街まで見て回ったが、結局神戸阪急で羊羹などを購入して新神戸駅へ。

新幹線に乗車し、窓越しに神戸の街に別れを告げ、購入したピロシキ3個を早々に平らげてしまい「もっと買っとけばよかったなあ」などと思いながら、旅のお供に持ってきていたジャック・ケルアック「オン・ザ・ロード」を読んでいるうちに無事に博多駅へ到着した。

<つづく>

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