BOB DYLAN – Shadow Kingdom THE EARLY SONGS OF BOB DYLAN
月曜日の朝から頑張って早起きして正解だった。
BOB DYLAN – Shadow Kingdom THE EARLY SONGS OF BOB DYLAN
白黒の映像で映し出された場所は、薄暗い小さなライブハウス(なんとなく「半地下構造なのかなあ」と思ってしまった)。
正装して黒いマスクを着けた見慣れない若いバックバンドを背に、柄シャツにジャケットという見慣れた姿のボブ・ディランがマイクの前に立つ(曲によってはアコースティックギターを持って!!!)。
御大の前にはテーブルやイスが並び、そこでは観客たちがマスクを着けずに酒を飲み、モクモクとタバコを吸い、あるいは演奏楽曲にあわせて身体を揺らしている。
1900年代前半のような雰囲気だが、バックバンドが着けたマスクはあからさまに現代を表し、しかし奏でられる楽曲は古く、アレンジは新しいがオールディーズ風味。
果たしてここは現代か、過去か、はたまた全く別の世界線か。
そんな不自然で不可思議で奇妙な世界で、ボブ・ディランが自身のアーリーソングを歌う。
事前のニュースでは「配信コンサート」とされていたが、蓋を開けてみれば「配信”疑似”ライブ」または「良質な映像作品」だった。
配信を観ながらふと、ボブ・ディランの歌声は”今”が一番いいのではないかと思った。
個人的に『ブロンド・オン・ブロンド』の投げやりな歌声や、70年代の力強い歌声(特に76年のローリング・サンダー・レビュー)が好きだったのだが、聞けば聞くほど、なんだか”今”のほうがいいのだ。
およそポップさとはかけ離れた歌唱スタイルでデビューし、その後『ナッシュヴィル・スカイライン』でクルーナー唱法をやりすぎ、『MTVアンプラグド』でカエルを潰しすぎた御大。
『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』で再び手を出したクルーナー唱法がここに極まれり、という感じか。
そんな声でまっすぐに「FOREVER YOUNG」を歌われてしまっては、もうたまらん。
進化が止まらない80歳。
配信だから別に早起きなんてしなくてもよかったのだが(ライブ配信プラットフォームVeepsにて、アーカイブでの視聴は7月21日午後3時59分まで可能)、月曜日の朝から早起きして正解だった。
ありがとう、ボブ・ディラン、本当にありがとう。
また日本で御大の歌う姿を生で観られる日が一刻も早く来ることを願う。
辺境の日曜音楽家。フトアゴとレオパ。鈴木絢音さん推し。※ゲーム実況はやっていません|https://lit.link/lrfr