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【兵庫旅日記】20年越しにたどり着いた「廣田神社」

最近、神功皇后ゆかりの場所を尋ねることが増えていることに気がついた。サイクリングを兼ねてなんとなく定期的に足を運んでいる「志賀海神社」をはじめ、糸島方面に向かった際に立ち寄った「志登神社」、仕事で訪れることになった「三笘」の地など。ちなみに、氏神様にも御祭神の一柱として神功皇后が祀られている。

いざ、兵庫県

▲新神戸駅。新幹線で通り過ぎるたびに「こんなに緑の近くじゃなくても…」と思っていた

11月上旬、当時まだ県知事選で盛り上がっていた(今もまだ盛り上がり続けてはいるが…)兵庫県に行ってきた。なぜ兵庫県なのか。西宮市に“神功皇后が創建に関わった”とされる「廣田神社」があるからだ。

「廣田神社」の存在は今から約20年前、“身近な人の苗字で全国の地名や神社を探す”という遊び(当時のマイブームだった)を通して知った。自分の本名(苗字)が「廣田」ということから、「いつかは行かなきゃいけない場所だなあ」と漠然と思った記憶がある。

冒頭に書いた最近の事象もあるし、2024年は辰年でもあるし(理由は後述)、「それってもしかして今なのでは?」という声が頭によぎった。それから仕事のスケジュールを確認し、天気予報とにらめっこしながらホテルと新幹線のチケットを確保したのは出発の一週間前。

余談:「兵庫」という県名の由来

「兵の庫(くら)、ってすごい県名だよなー」と思って由来を調べてみると、2つの説が出てきた。せっかく調べたのでここに残しておく。

Q2 「兵庫」という県名の由来は何ですか。

A2 兵庫県の名称は、現在の神戸市兵庫区辺りを指す「兵庫」という地名に由来しています。 兵庫には、「兵庫津」と呼ばれる港(現在の神戸港の一部)があり、幕末にはアメリカやその他の国々と貿易を行うための開港場として指定されました。明治政府発足後の慶応4年(1868)、兵庫には、周辺の旧幕府領を管轄する兵庫鎮台が置かれましたが、この兵庫鎮台は、間もなく兵庫裁判所と改称され、さらに同年5月23日、兵庫県となりました。 県名に、「兵庫」と冠したのは、このように役所が置かれた地が兵庫にあったからと推測されます。 なお、「兵庫」の地名については、かつて兵器の倉庫が、そこに置かれていたために名付けられたのではないかとも考えられますが、よくわかっていません。

【引用】兵庫県「よくあるご質問」|https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk32/pa13_000000023.html

兵庫県の「兵庫」は、兵器を格納する倉庫である「兵庫(つわものぐら)」にちなんでいます。

【引用】兵庫国道事務所「兵庫の名前の由来」|https://www.kkr.mlit.go.jp/hyogo/introduction/kankou/yurai/index.html

廣田神社の御祭神は「天照大神の荒御魂」?

「廣田神社」の御祭神は「天照大御神之荒御魂」、別名「撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(つきさかき/いつのみたま/あまさかる/むかつひめのみこと)」。

廣田神社は、神功皇后摂政元年(西暦201年)、国難打破の道を示し、皇子(第15代應神天皇)のご懐妊を告げ、安産を守り、軍船の先鋒となり導き、建国初の海外遠征に大勝利を授けられた天照大御神の御神誨を受けた神功皇后(第14代仲哀天皇のお后・右の出陣図参照)により、御凱旋の帰途、武庫の地・廣田の国(芦屋・西宮から尼崎西部)に大御神の『荒魂』を国土の鎮め外難の護りとして鎮め祭ったと、『日本書紀』に記されている兵庫県第一の古社です。

【引用】廣田神社|https://www.hirotahonsya.or.jp/yuisyo.html

しかし噂によると、戦前は御祭神を「瀬織津姫(せおりつひめ)」と明記していたらしい…。詳しくはググってください、いろんな人がいろんな情報を出してくれています。勉強になります。

瀬織津姫は、古事記や日本書紀に記載されておらず、神道の大祓の祝詞で確認できる神様。個人的には、なぜか気になり続けている存在でもある。水の神であり、龍神ともされているので、参拝するなら辰年のうちがいいだろう、と。

気づいたのが2024年でよかった〜。“辰年12年待ち”を回避できて本当によかった〜…。

 

ちなみに、「廣田神社」と同じく天照大神の荒御魂を御祭神としている「和布刈神社」(福岡県北九州市門司)の由緒書きにはこんな記述がある。

御祭神は、天照大神の荒魂「撞賢木厳之御魂天疎向津媛命」。別称「瀬織津姫」という月の女神であり、穢れを祓う禊の神さま、潮の満ち引きを司る「導きの神さま」とも言われている。

【引用】和布刈神社|https://www.mekarijinja.com/

ここでは堂々と「天照大神の荒御魂=瀬織津姫」と書かれている。では「廣田神社」はなぜ瀬織津姫と明記せず、(調べればわかる程度の)遠回しな表現をしているのだろう…。というか、瀬織津姫って月の神様でもあるのか。知らなかった。勉強になります。

 

ところで、「和布刈神社」の創建が仲哀天皇9年(西暦200年)で、「廣田神社」の創建が神功皇后摂政元年(西暦201年)とされているのも興味深い。三韓征伐後、神功皇后一行は摂津(廣田国)で天照大神の荒御魂を祀る前に、北九州は門司の地域に立ち寄っていた…?

…なーんて思っていたら「和布刈神社」のXにこんな投稿が。

【和布刈神社の主祭神】和布刈神社の主祭神は瀬織津姫、月と潮の干満を司る浄化の神です。三韓征伐に向かう神功皇后にこの地に寄るよう託宣し、海神から満珠・干珠(まんじゅ・かんじゅ)を授かる機会をつくった導きの神でもあります。高貴な女神であるため、当社の御神紋は花弁の多い八重桜です。

【引用】和布刈神社(めかり神社)(@mekarijinja)さん / X|https://x.com/mekarijinja/status/1857700786677100872

夙川駅から広田参道筋経由で目的に向かう

▲今回歩いた、夙川駅から廣田神社へのルート。「広田参道筋」を通りたかったんだ!

阪急電車・神戸三宮駅で乗車し、夙川駅で下車。そこから神社までは徒歩で約30分とそこそこ歩くのだが、知らない街は歩くだけでも楽しい。

見たことのない建物が次々に現れる街並みは新鮮だ。歩道と車道を隔てるように等間隔で設置されている半透明の壁は騒音対策か?福岡では見たことがない。楽しい。そのまま歩いていると右ひじあたりにてんとう虫が付いていた。赤地に黒点ではなく、黒地にオレンジ点のやつ。これは福岡でも見たことがある。でも楽しい!

▲半透明の壁。最初はバス停の待合スペースと思った

道中、昼ご飯で立ち寄るつもりだった油そば屋が店休日ということを知る。仕方がないので代わりとなるお店を探しながら歩くのだが、このあたりの飲食店は月曜定休が多いようだ。これぞフィールドワーク…違うか。

ベーカリーで昼食を

結局、参道(広田参道筋)沿いにあるベーカリーショップ「サニーサイド西宮大社店」で早めの昼ご飯をとることに。このお店のことは「廣田神社」の周辺情報を調べているときにネット記事で見ていた。そのときは「昼ご飯、パンかあ〜〜」なんて思っていたが、現地に入って気が変わった。パンもいいじゃない。

▲広田参道筋の入口。木製の鳥居がかっこいい

▲広田参道筋の左手にある「サニーサイド西宮大社店」

まだ11時すぎだというのにテラス席は埋まっており、店内のイートイン席は女性客でほとんど埋め尽くされていた。わいわい、がやがや。

女性客ばかり、なんなら店員さんも女性ばかりのパン屋に、ヒゲ・ロン毛・サングラスの男(俺)が一人で入店するのだ。怪しい絵面だという自覚はあるが、背に腹は代えられない。

腹が…減った…。

トレーとトングを手にし、なるべく短時間でパンを選び、レジで会計を済ませてイートインスペースへ。手前の端っこの席が空いている、助かった…。

▲購入品。パンの正式名称は失念…

購入したパンは2つ。ソーセージとレンコンがのった惣菜パンと、参道沿いのパン屋ならではの名物・鳥居型のパン。

ソーセージは細いけれどジューシー。オリーブオイルとチーズもかかっていてボリューム感はあるものの、シャキッと歯ごたえのレンコンがそれらの重さみたいなのをチャラにしてくれるので非常に食べやすい。七味唐辛子の中盤の裏方仕事も見事。とてもおいしかった。

鳥居型のパンはネット記事で見ていたので、「ベタだな〜」なんて思いながらトレーにのせたのだが。食べてみると卵が香る優しい味わい。ほんのり甘く、なるほど、これはうまい。見知らぬ土地のベタに乗っかるのも悪くない。

いざ、廣田神社

▲石鳥居

「サニーサイド西宮大社店」からしばらく歩くと、やがて背の高い石鳥居が見えてくる。空の青に白い鳥居が映える。美しい。鳥居をくぐって先に進むと注連柱(冠木鳥居?)が立っていた。

さらにまっすぐ進むと、開けたところで右手に拝殿がお目見え。想像を超える大きさ。少し足を止めて拝殿を眺める。気持ちがいい。

それにしても、参道が途中でL字になっているなんて、「太宰府天満宮」みたいだな。いや違う、広田参道筋を含めれば「廣田神社」の参道はS字になっているのか…。不思議な造りだ。

▲近隣で見られる野鳥の説明板

▲注連柱

▲拝殿

▲狛犬

拝殿でお参りし、御朱印を待つ間に境内を散策。

▲伊和志豆神社

▲五末社

▲松尾神社

▲齋殿神社

▲御神水

▲御神水と龍

散策している間、境内に小鳥の鳴き声が響き続けていた。1週間前の予報では雨っぽかったのだが、幸い天気に恵まれ、過ごしやすい気候で、いい日に参拝できてよかった。数日前まで〆切に追われていたこともあって、久しぶりにのんびりリフレッシュ。

御朱印をいただく際、1800年前から伝わるとされる「廣田神社」御宝物「劔珠(けんじゅ)」をかたどったお守り「剱珠守(けんじゅまもり)」が目に入ったのでそちらもいただくことに。その後、少し悩んで「廣田神社」の御朱印帳も購入した。自分の苗字がデフォルトで表紙に刺繍された御朱印帳、買わないわけにはいかないだろう。

辰年、11月、瀬織津姫に会う旅

念願の「廣田神社」に参拝した翌日、六甲山にある「六甲比命大善神社」にも行ってきた。「六甲比命大善神社」の御祭神は六甲比命で、またの名を瀬織津姫というそうだ。つまり、天照大神の荒御魂=瀬織津姫=六甲比命。なんだかややこしい…。

六甲山といえば「六甲のおいしい水」が一番に、次に「六甲おろし(オマリー歌唱Ver.)」を思い浮かべてしまうが、実は山全体が「廣田神社」の社領だったという。きれいな水がある山なら、水の神様(瀬織津姫)が祀られても違和感はないし、「廣田神社」の御祭神の話とも繋がりが見えてくる。

そしてこの六甲山には巨大な磐座が鎮座しており、古代の祭祀場だったのではないか、ともいわれているとか。せっかく兵庫県まで来たのだから、「廣田神社」にお参りしたのだから、六甲山に行かないという選択肢はない。

<つづく>

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