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【書評】意外と実践できそう?「ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方」

      2018/09/30

ユダヤ人は全世界の人口に対して0.25%しかいません。しかし、ノーベル賞受賞者の45%はユダヤ人です(帯より情報引用)。 こういった事実もあってか、我々は無意識のうちに「ユダヤ人は頭が良い」というのが刷り込まれています

ちょっと書店に行ってきてください。そして自己啓発コーナーを見てみてください。

「ユダヤ人大富豪の教え」「ユダヤ式Why思考法」「ユダヤ人の子育ての秘訣」「ユダヤ人の考える力」などなど……「ユダヤ人」をキーワードとした本が多いこと多いこと

今回とりあげる「ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方」(例によってタイトルに「ユダヤ人」とありますね)は、どうして「ユダヤ人は頭が良い」と言われているのか、その理由を解き明かしてやろうと奮闘する3人の男の物語です。

どんな本なの?

「 … え、物語?」って思いました? そう、この本は物語調で書かれているんです。なので、いわゆる自己啓発系の本のようなガッツリな内容を期待するとちょっと肩透かしを食らうかも

主人公は、記憶に関する講演などを行っている著者のエラン・カッツ、著者の大学時代からの友人で現在は政治学部の大学教授を務めるタマル・フォルマン、サイケデリックカラーのTシャツに著名人の顔をプリントした異色Tシャツの販売で生計を立てているジェローム・ゾメルの3人。

(一見なんの接点もなさそうな著者とジェロームの出会いが気になる人は、本書の14ページをお読みください。そんな出会いから友達になれるのかと思っちゃいました)

最初のうちは、彼ら3人も「ユダヤ人がなぜ頭がいい(と言われている)のか」を理解してはいません。読み手と同じような立ち位置からスタートして、次々に重要人物と出会い、話し、議論を繰り返すことで読者と一緒にその理由を知っていく、という流れ。

数ある「ユダヤ人〜」本の中からどうしてこれを選んだのかというと、単に読みやすそうだったから

先述の通り、ガッツリ自己啓発本ではないにしても、実生活に役立てられそうなキーワードはちゃんと明記されています。

ということで、本書の紹介とあわせて、それらをいくつかをピックアップしていきますね。

 

目標を明確にし、論理的に達成を目指す

予見のイマジネーション…不条理なことを論理的方法で実現する。

物の考え方について。「実現できなさそうなことをどうやったら実現できるのか」を現実的に思考することの大切さが書かれています。

事実、よっぽどの突飛なことでない限りは、例えば大金を稼ぐ、有名になるといった事柄はすでに実現できている人がいるわけです。

実現できている人がいるということは、現実にありえること

目標を立てたらそこからもう一歩、叶えたいこと・なりたい姿をさらに具体的にイメージすることで、実現のために必要なことがより明確に思考することができます。お金持ちになりたいなら、それは社長になってお金を得たいのか、有名人になってお金を得たいのか、ビジョンによって必要な要素が変わってきますよね。

そうこうしているうちに、仮に目標の姿や夢が叶えられなかったとしても今の自分よりは確実に夢の方向へ近づくことができる、というわけですね。

学校の先生が言っていた「目標は高くもて」というようなことはユダヤでも同じなんですね。

「五十万ドルをどう稼ぐかという問題に意識を集中させると、君は無意識のうちに、二、三十万ドル稼ぐのは楽だと気づく。その金額が当初、君が設定した一万ドルより多いにもかかわらず、ね」

「自己実現ワークショップなら、現実的で実現可能な目標設定と実現可能な方法を考えろといいます。ユダヤの想像力アップの基本は自分から見てとうてい不可能と思うことをイメージしろです。自分の能力を何倍も超えた、無理な目標を設定する。設定してから、そこで、どうやってそれを実現したらいいかを現実に即して考えるんです。だってあり得ることなんですから」

 

同じ場所にとどまらず動き続けよう!

サバイバルの原則…慣れ、安逸、骨抜き状態から抜け出すこと。物理的かつ精神的に常に移動すること

ユダヤ人は長い間迫害されてきたという歴史から、過去現在にわたって安住の地を持って暮らしていた時間がほかの民族に比べるとあまりありません。

そんな悲しい歴史を繰り返すなかで生き残るために必要だったのが、この「サバイバルの原則」だと本書の中で明言されています。

人は同じ場所に長くいると、その安心感からどうしても思考力が低下してしまうのだそう。そこで物理的&精神的に移動をし続けることによって、「安心する=思考力の低下」を避ける。

「もうこれでいいや」を避けるということでしょうか?現状に満足することなく、常に上昇志向でいることもユダヤ的思考の大事なポイントのようです。

「実験室のマウス実験で、一つの檻にいたマウスと檻をつぎつぎに変えられたマウスの違いについて、おもしろい結果が出ています。『豊かな』環境を満喫した、つまりいろんな刺激――おもちゃ、音をたてるもの、光、匂い、その他――を満喫した『檻を移動したマウス』は『檻が固定されていたマウス』より知能が発達していることが判明したんです。」

 

学ぶのはいいこと、質問するのはもっといいこと

たえず学び続けること、何事も自明のことと受けとめないで質問すること

「ギデオンは神の約束を自明のこととしては受け入れなかった。ギデオンはお告げが本物だったのか、それともからかわれたのかとあやしんで、神に問いかけさえした。<いっさいのしくじりを>おかさぬためにね。神は、神の言葉を疑ってあえて問いを発して質(ただ)すギデオンを罰したか?いやいや。神は奇跡を起こして、その力を証明したんです。神に答えと証拠を与えられてギデオンは納得し、戦いに出る勇気を得た。質問することで彼は必要な情報を得、情報は彼に、神がそばにいてくれるという自信を与え、そこでやっと、たった三百人の兵士を率いて、堅牢な装備をしたミデアンの軍隊に対峙した(士師気六―八章)」

ちょっと長い引用でしたが、これはユダヤ教徒の聖典である「タルムード」の一節です。

彼らの聖典には、質問することは決して悪ではない、むしろ大事であるということが明記されているのです。

曖昧な理解、勝手な思い込みをするくらいなら、訊くことでそれを回避できるなら聞きなさい、と。自分で解明することも大事ではありますが、それだけではないということですね。

もちろん、聞いてばっかりになるのはまたちょっとダメなんでしょうけど。

自分よがりの思考になるな、視野を広くしろ、というふうに私は捉えました。

「質問をしはじめると、現実には変えた方がいい面があるのに気づくようになって、現実が少し変わって見えだすはずです。〜そうなると、君は未来を変えられる」

 

大きな発明より小さな改良

アップグレードの法則…発明しなくていい、目の前にあるものを自分に使いやすく改良して利用することが望ましい

同じ土地に定住してこなかった(できなかった)ことから、ユダヤ人は生活の知恵として自分たちの日常にあわせて物を改良することを覚えました。

そしてその改良という生活の知恵は、実は今日において世界中で役に立っている、なくてはならない技術になっています。

「いまあるものを必要に応じて効果的に改良することです。ラップトップコンピュータは大型のデスクトップコンピュータの改良型模倣です。マットレスはマットの、車は荷車の、自動ドアは門の改良型模倣です」

ゼロから1を生み出すのにはかなりの労力が必要ですが、1を2や3にすることは案外難しいことではありません

ましてやそれが自分に関係のあることだったら?

極端にいえば、苦い野菜を食べやすく調理することだって改良の一種と言えるのではないでしょうか。改良と聞くと大げさに聞こえるかもしれませんが、何も大きなことだけが改良ではないのです。

まずは身の回りのものから、自分が使いやすいようにちょっと手を加えるところから始めてみませんか?

これも常に脳みそを使いなさいって話なんですかね。生活のなかでも論理的に考えればもっと便利になるよ、っていう。

 

実践しやすそうな”ユダヤ式の脳トレ”の基本

上記のほかにも、「インスピレーションの基本…真似るに相応しい手本をさがし、その生き方や行動を学び、熟慮と改良を重ねながら、その足跡を忠実にたどること」「記憶を信じて信頼すること(白い紙に黒い筆記具ではっきりきちんと書くこと、簡単でおもしろそうなことからから取り掛かること、など)」といった、理解すれば確実にレベルアップできそうなキーワードとその答えがあちこちに散りばめられています。

本書後半の記憶術に関する項目では、「復唱する」「なにかと紐付ける」「リズムをつけてみる」とか案外みんなすでに実践してるんじゃない?っていう”頭脳の鍛え方”が出てきます。

そういうところを見ると、なんだかそんなに小難しいことしてるわけじゃないんだな、なんて思っちゃいますねー。

先にも書いたように、物語調で書き綴られているので、普段は新書を読まないような人でも違和感なく読み進められるのでは?

実際、難しい言葉(専門用語とか)はあまり出てきません。

それに、主人公格の3人組のうちの1人・ジェロームが不真面目系おちゃらけキャラなもので、偉い人の発言を平気で茶化したりします。なので、堅苦しい空気が続くことは回避されてたり。

そのおかげか、約300ページ、ほとんど苦なく読めました。

ま、実はこの不真面目系おちゃらけキャラの彼が最後に一番化けるんですけどね。彼はこの頭脳の鍛え方をしっかり学び、それを実行しました。物語の最初と最後では、彼はもはや別人です。

ユダヤ人が教える頭脳の鍛え方を実践する過程で、なんと彼女もできました!

そうそう、本書にもあるようにその鍛え方を知っていても実行しなければなんの意味もありません。もしかしてこの本が伝えたかったのは、実行力を身に着けろということなのかも。。

さて、変なTシャツを売って生計を立てていた彼がどう成長していくのか。そこにも注目しながら読んでみてください!

 

ユダヤ人が教える正しい頭脳の鍛え方
エラン カッツ
角川書店
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大分県生まれ、熊本県育ち、福岡県在住。日曜音楽家として音楽制作、駄文筆家として本ブログの執筆を行う。そのほか、”撥弦楽器をこよなく愛するサボテン男”、”孤独のグルメごっカー”なども自称。代表曲は「マインクラフトのうた」「Paris 1920’s(『KORG M01D Super Users Official Compilation vol.1』収録)」など。

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